My precious one
アートブック「My precious one」が完成したのは今年2月でした
コロナ騒動が騒がれ始めたのと同時期くらいでしょうか
次々と大きなフォトフェアー等が中止や延期になってしまい
お披露目する機会を失いかけました
しかし、こういう時だからこそ人間は共感を必要としているのでは?
という強い思いを持って発表の機会を得ることができました
アートブック「My precious one」とは一言で言うと
母親の人生を見立てたコンセプチュアルアート作品です
その人の人生は終わってみないと何をやってきたか分かりません
振り返ってみると母親の人生は「祈りの人生」でした
祈りの世界を具体的に表現するには....
レヴィ=ストロース「野生の思考」を読む機会に恵まれました
驚いたことに私が考えていた構造の世界が書かれていたのです
そこに柳宗悦の「用の美」が書かれ、さらに浄土真宗の他力思想
にも結びついていました
母親が死の直前まで行った行為は一貫性のある美と他力思想だと思えるのです
この思想を本という媒体に落とし込むのにはどうしたら良いか悩んでいたのが
嘘のように一気に目が覚めました
その後、あらゆる芸術関係の本を読み「見立て」にたどり着きました
千利休が雑器を芸術品に見立てた「見立て」です
西洋ではマルセル・デュシャンの《泉》が有名です
私は概念自体を本という媒体に落とし込んだのです
概念とは魔法のようなものです
その魔法はヨーロッパを巡り波紋のように広がり始めました