Mom and Kokeshi
やっとの思いで母と祖母は実家のある山形県は最上郡大倉山の温泉郷肘折温泉に
到着したとあります
祖父の実家である丸屋旅館に着くと先に帰郷してた祖父と合流したのです
肘折温泉は、開湯1200年の歴史があり多種の病に効く湯治場ということで
今も現存する日本の秘湯です
祖父は次男ということで旅館を継ぐことはなく営林署に勤め祖母と結婚し満州へ渡ったのでした

実は高校1年生の夏休みに私は母方の実家である丸屋旅館にアルバイトに行きました
社会勉強のためと自分から言い出した事でしたが、早朝から働き始める旅館の仕事は思った以上にきつかったと記憶してます
それでも夏休み終了まで1ヶ月は働きました
夏の温泉街はお祭り騒ぎで毎晩賑わっていたのが楽しかったのでしょう
そしてバイトが終わる頃には酒の味をすっかり覚えてしまっていました
肘折温泉のシンボルとして東北伝統こけしが親しまれてきました
肘折こけしは鳴子系に遠刈田系が加味されて、ひと目で肘折こけしと認識できる
独特の個性が特徴と言われています
母はこの肘折こけしの大ファンで戸棚いっぱいに集めていました
肘折こけしの工人は何名かいらっしゃたそうですが、昔母から聞いた時
母が贔屓にしてた工人は奥山喜代治さんだったと記憶しています


喜代治さんは明治38年3月3日山形県北村山郡大久保村大原の農業従事者の三男として生まれ17歳で肘折温泉に行き、同郷大原出身の奥山運七の養子となり木地の手ほどきを受けた
とあります
その後、山仕事や出かせぎもしたり昭和13年秋には北海道へも渡ったそうです
昭和14に肘折温泉へ戻り、昭和18年に丸屋旅館を通してさばかれたとあります
この時の縁で喜代治さんのこけしが母の手元に残ったのだと思われます
喜代治さんは昭和47年1月15日没しました 享年68歳です
後継者に長男庫治がいました 庫治さんからの技術の継承者としては鈴木征一
阿部薫の名がありましたが、現在では鈴木征一さんがひとりでその伝統を今に伝えています
