flower funeral once again

実際、花を通して不在の物語の実在を問うということは

私自身がもう一度、花から受けた美学的啓示を経験しなければ

作品は作れないだろうと考えました

それまでカメラマンとして就業してた全てを辞め花屋の人材派遣会社に登録し

花の名前すら満足に知らないのに無謀な挑戦を始めたのです


時代の流れとともに昔のような白木の祭壇は見かけませんでした

関東周辺葬儀の主流は花祭壇という事実も業界に入って知りました

献花の儀で使われる花を意識し記憶に残るサービスをご遺族に提供するため

独自に進化していったのだと考えられます

故人と満開に咲く花との対比を前に、人は「死」は避けられないものと同時に

「生」そのものも避けられないものだと無意識に気づくのです


2年半で約680組の葬儀に立ち会いましたが、特別印象に残った告別式がありました

会社の役員をされていて武道のたしなみがあった60代男性の告別式です

遺影を見ると逞しいスポーツマンタイプで優しそうな笑顔で写っていました

性格は志が高く武道の教えに従い家族にも自分の得た経験を楽しそうに話して

聞かせていたという事でした

何十年も連れ添った奥様の決まり文句の言葉は

普通お世辞にも感動はしないものですが

その奥様は60代で後妻ということにびっくりしました

故人と連れ添った期間は5年しかなかったという寂しさに涙をこらえていました

他人の悲しみに同情するというのは悪いことではありません

隣国では葬儀で泣く役者を雇うという話も聞きます

しかしその奥様の話はそういう見せかけの同情を誘うものではありませんでした

亡くなったご主人の人となりを一生懸命話されてるその心に会場にいる皆が感動

していました

最後に故人の遺影に向かって「嘘つき」と何度も叫ばれていました

その時、初めて心情を吐露した姿は大変印象深かったです

仕事にもかかわらず他人の葬儀で涙したのは初めての経験でした


究極の状況で他の人はどう感じるのか

私が見たものは夢なのか幻なのか...

知りたかった私は飛躍の契機を得ることが出来たのです
















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Takuji Otsuka|アート、写真家、コンセプチュアルアート、20世紀写真

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