Colosseoはでかかった



これから三ヶ月お世話になるシルバーナおばさん宅に着いた時はすでに23時を回っていた

私は旅の疲れで気の利いた挨拶も交わせなかったが

初めて見たシルバーナさんの印象はスーザン・サランドンがパジャマを着て立ってるといったところだ


50代なかばであろう独身のシルバーナさんの性格は少々キツい印象だった

きっと私が遅れて到着したことに腹を立てていたのだろう

そして提示してきたルールは厄介だった


シェアする台所ではシルバーナさんが使う前に私が使うことは許されなかった

食器も使って良いものとダメなものを捲し立てられながら説明しだした

こんな流暢なイタリア語は映画でしか見たことがない、と思いながら聞いてると

最終宣告は23時以降のシャワーは禁止と告げられる

シャワー室がシルバーナさんの寝室の隣にある為、眠りを妨げるというのが理由だった

今日は使えないのだと、この時理解する

私は速やかに眠りにつきたかったので、その全てを了承し礼を述べて部屋へ向かった


翌日目が醒めると早くから鳥が鳴いていた なんて言う鳥だろうか 日本では聞きなれない鳴き声だ

きっと鳥もイタリア語で鳴くのだろうと思いながら窓に向かい朝日を浴びる

身体が目覚め出すと旅の疲れはすっかりとれていた

今日から仕事なのでとりあえずここの住所をメモしておく必要がある

シルバーナさんに教えを乞うためリビングへ向かうとすでにもぬけの殻だった

私より早起きなオバハン…

仕方なく最寄り駅の名前を覚えておけばなんとかなるだろうと考える

ここはローマ地下鉄A線のNumidio QuadratoとLucio Sestoとのちょうど中間にある住宅地にある

東京で言うところの都営住宅地の一棟といったところで

目の前には大きな道路が通っていて迷う心配はないだろう

前日にコロッセオへ向かえとの指示だったのを思い出す

これから都心へ向かうので中心に近いNumidio Quadratoを最寄り駅に選ぶことにした


さてどう行けばコロッセオに着くのか、調べる間もなく地下鉄B線にコロッセオ駅と名前が載っている

朝の通勤ラッシュを避けようと7:00には地下鉄に乗り込んだ

そういえばイタリアンカフェを未だ飲んでない事を思い出す

乗り換えするテルミニ駅の暗い地下鉄の道を出口まで進むとBARの文字が見える

しかし注文の仕方が分からないのでやむなくそのままコロッセオへ向かうことにした

通路は薄暗くてなんだか小便くさい 

電気が地下まで届いてないのだろうか 人の顔もよくわからず皆一様に黒く見える

ここが本当に国際的な駅なのだろうか….全く信じられない


結局コロッセオ駅に到着するも朝食もとらずじまいだった

uscitaの看板が見える 出口にたどり着くと改札は一つだけだった

外に出ると太陽が眩しく照りつける

逆光にも次第に目が慣れると何やら目の前の黒い物体の存在を感じる それがコロッセオだった

で、でかい! 思わず声が出てしまった

ローマ帝国時代にトリップした感覚に襲われる


信号を渡り凱旋門のあるところから、ゆっくりとコロッセオの周りを右から一周してみると

コロッセオの外壁に巣をつくってる鳥たちが旋回していた ツバメみたいな鳥

近づいて見上げる 高さは48mあるという 首が痛い

両手で触れてみるとひんやりしてる 石にこんなに感慨深い気持ちになったのは初めてだ

しかも世界遺産に直に触れてる自分がいる

街の中心に紀元前の遺跡があるなんて日本では考えられない まさに奇跡を見た瞬間だった